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ゲーム
「笑わなかったら、負けね。」
ナナミが死んで、その次の日に彼は言った。
ゲームだと、言って。
負けるのは何か癪に障るので、乗ることにした。
笑って、笑って、笑って、泣けてきた。
泣けなかったのに・・・・・・・。
彼は見てないフリをした。
それが、彼の優しさ、だった。
昼寝
黄緑に茂る草。
水色の空。
自分と、草と、空の境界線が無くなった。
そのまま、草と空に身を任せ、目を閉じた。
香るのは風のにおい。
たまには、こうして昼寝をするのもいいかもしれない、そう思った。
すれ違い
「食われるよ。」
冷たく拒絶する声。誰にも立ち入らせない、そんな声。
誰も、彼に近づかない。
否、近づけない。
近づくことを許されていない。
そのことを歯噛みするも、それでも、彼の冷たい目線には逆らえない。
「そうして、おんしはどうするつもりじゃ?」
純真に好奇心から発せられた声。
「落ちていくまで落ちていっても楽しいかもしれませんね。」
お互い、それ以上交わることも無く、生と死をつかさどる紋章の主と月の紋章の持ち主は別れたのだった。
覇王
覇王というものを何人も見た。
解放軍で軍主であったあいつも、あいつの父親も、赤月帝国の皇帝も、ハイランドの狂王子も覇王といえるだろう。
彼らが、積み重ねてきたのはたくさんの死。
血のにおいが消せない彼ら。
たくさんのものに慕われて、そして、盾になって消えていく。
覇王とはいえない、軍主や英雄。
同盟軍軍主と、元、赤月帝国の6将軍の1人。
どちらがいいとはいえない。
ただ、彼らなら、血を流さずに済ましてしまうかもしれない、そう思えた。
剣
「結局、剣を持って忠誠を誓うことは無かった。」
「それはお前のことか?」
ビクトールの問いに解放軍の軍主は笑う。
「剣を持って忠誠を誓ったのならば、その忠誠は永遠のものだった。」
「それはお前が敵になっていたかもしれない、ということか?」
「そう、単純なことでもない。」
どこかただならぬ緊張感が二人の間にあった。
「まぁな、お前は、帝国が荒れているままだったら、剣に向かって忠誠を誓わないだろうな。」
その、ビクトールの一言で二人の間の緊張が消し去る。
「そうとは限らないだろう?」
「ぜってー、そうだ。」
「そうかもしれないな。」
ifの世界は無いのだ。剣はトランの国にささげられた。
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