結ばれなかった約束

坊→ティル 2主→リオウ 5主→コロナ

ティルはコロナを同盟軍本拠地へと連れてきた。
名目はトランと同盟を結んだデュナン地方への非公式の視察らしいが、まぁ、名目上だけの話である。

本来ならシュウに会わすべきなのだろうが、ティルはめんどくさいので省略することにした。
とりあえず、酒場へ行く。

そこにはリオウが一人の男性としゃべっていた。

「「えっ。」」
ティルとコロナは同時に声を上げた。

その声にリオウは振り返る。と同時にリオウと話していた傭兵風の男も二人に気がついた。
「あれ?ティルさんが自分から来るって、珍しいですね。それに、誰か連れてくるなんて初めてじゃないですか?」
その
「久しぶりだな、ティル、コロナ。」
ゲオルグはにやりと笑って片手を上げた。

「えっ、お知り合いなんですか?」
「まぁな。」
ゲオルグは鷹揚と頷く。

「とりあえず、もう少し人目のないところへ行かない?」
ティルはあたりの視線が気になり、リオウにそうささやいた。
「え?何でですか?」
「まぁ、いろいろあるからね。宿屋でいい?」
「それなら、僕の部屋を使ってください。」
少し迷ったが、ティルは頷いた。
「ありがとう。」
「いえいえ、気にしないでください。」
リオウは先に立って歩いた。

向かった先はエレベーターである。リオウはボタンを押す。
「あっ、エレベーターだ。」
コロナは驚く。
「へぇ、エレベーター知っているの?」
「うん。」
「僕の本拠地にもあったんだよ。確か、シンダルの遺跡だったかな?」
その言葉に感心する。

「へぇー、そんな頃にもエレベーターバーバリアンいたんだ。」
その言葉にリオウ以外固まる。
「エレベーターバーバリアンって?」
おそるおそるとティルは尋ねる。
「すんごくムキムキしていて、顔を布で半分隠しているの。」
「そうなんだ・・・・。」
人力ということを初めて聞き、ティル、コロナ、ゲオルグの顔は半分引きつった。

「僕たちの城は歯車って言うやつで動いていた。」
「僕たちの城もだよ。」
その言葉にリオウ達は逆に驚いた。
「え、人力じゃないんですか?」
「それにしても、シンダルの知恵を使えるなんてすごいなぁ。」
コロナは回転橋のことを思い出し、技術がどんどん進んでいることを実感した。

コロナのことばにリオウは便乗する。
「そうですよ。もっとからくりでしたっけ、流してくださいよ。」
トランのからくりなどの技術はかなり高いのに、他国へ流れ出ることはめったにない。
もし、その力があればもっと戦争が有利になるかもしれない、という打算があった。

「大きすぎる力は災いしか呼ばないよ。火炎槍を流出しただけでも後悔しているのに。とはいっても、決めるのはトランの国民だけど、やっぱり、流出するとなったら僕は止めるよ。」
風火砲、焦魔鏡、からくり兵どれをとっても危険なものばかりである。ティルは他国へ流すつもりはまったくなかった。

はっきり言い切ったティル口調にコロナは紋章砲のことを思い出す。

「そっかー、仕方ありませんね。」
リオウは簡単に引き下がった。

リオウもまた、真の紋章やルカのことを思い出しだしたからだった。
しかしその顔は残念そうである。
ティルは申し訳なくなった。

「今度、金庫破りには連れて行ってあげるよ。」
その言葉にリオウたちは目を丸くした。

「き、金庫破りですか?」
「一回金庫破りをしてみろ、って言われて金庫破りをしたらさ、今度は試してくれないかって言われてさ、まぁ楽しいから時々行くんだ。」
「は、はい、いってみたいです。お願いします。」
「テオの息子にしては真面目一辺倒だけではないようだな。」
ゲオルグは笑っていった。







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