秘密の小部屋




トーマスは鍵を前にして、困っていた。

シズから渡された開かずの間の部屋の鍵である。

「絶対一人で見てくださいね。」

「食事のことお願いします。」

「できるだけ早く見てくださいね。」

意味深にそんなことを言われ、何がいるのか怖かった。

トーマスは手の中で鍵を転がした。
そして、行く決意をした。

部屋まで行き、鍵を鍵穴へ入れ、回す。
ノブを回し、少し開くと、「イエッサー!」と奇怪な声がした。

慌てて閉める。

と、後ろからつつかれ、トーマスは驚いて振り返った。

「大丈夫ですか?」
そこにはメイミがいた。手にはたくさんの料理を持っている。

「あ、はい、大丈夫です。メイミさんはどうしてここへ?」
「料理を持ってきたんですよ。扉を開けてくれるとうれしいんですが。」
「あ、は、はい。」
トーマスが扉を開けると屈強な男たちが綱を持っていた。
一瞬、彼らが戦争に参加していたら・・・と思ったのだが、この人たちはここでこうしているのが天職のようだった。
エレベーターを引くための一族がいたら・・・と想像し頭を振った。
しかし、トーマスが繰るずっと前、このエレベーターを引く人たちはいた。
そうかんがえると・・・・・。

「あ、私、旅に出ますので、次からこの人たちのお食事お願いしますね。あまり甘すぎない方がいいんですけど。」
なんでもないようにメイミは言う。
「う、うん。」
戸惑いながらもトーマスは頷く。
これからの食費に頭を悩ませることになりそうだった。







back