結ばれなかった約束

坊→ティル 2主→リオウ 5主→コロナ

ティルたちは、リオウの部屋につき、適当な位置に座る。

「とりあえず、紹介からだよね。えっと・・・。」
リオウはつまる。
ゲオルグは銀色の髪の少年のことを知ってそうだし、ティルがつれてきたのだから、ティルは知っているだろう。
お互いに知らないのはリオウと銀髪の少年だけだった。

「僕が紹介しようか?全員」
ティルはにこやかに言う。
皆を眺めるが、ゲオルグのほうだけは見ようとしなかった。

「でも、皆ゲオルグのことは知っているみたいだし。こっちが同盟軍軍主リオウ。で、こっちはファレナ女王国の女王の兄のコロナだよ。」
「よ、よろしくお願いします。」
「よろしくね。」
リオウはコロナの正体に驚き、緊張しながら礼をした。

皆、英雄と呼ばれるすごい人たちで、リオウは緊張していた。
自分も英雄と呼ばれることは自覚していない。

そうして、緊張しているのをコロナは、ほほえましく思った。

「そういえば、コロナ、女王騎士団長代理はどうした?」
ゲオルグが口を挟む。普通なら、コロナは国外に出ることはないはずである。

「リムが結婚したから正式な女王騎士団長ができてね。外の世界を見たくて来たんだ。もちろん、仕事もあるけどね。」

「リオンはどうしたんだ?」
「リムに子供が生まれて、それにかかりっきり。古参の女王騎士は少ないからって押し切った。」
アーメス侵攻に引き続き、内乱が起きたせいで、たくさんの女王騎士がいなくなった」
女王騎士が元・女王騎士団長代理のためだけに働くわけには行かなくなった。
復興の時も人手が足らなくて、コロナの横にはリオンだけがいるわけには行かなくなった。
でも、結果的に良かったと思う。独り立ちできるようになったからだ。

そして、少し勇ましくなったコロナを見て、ゲオルグは満足そうに笑った。

「なるほど、そこまでしてなぜここに来たかったんだ?」
「真の紋章が関わっている戦争が次々起きているってうわさを聞いたから。門の紋章戦争の時はもう、戦争が終わっていたからなぁ。」

その言葉にリオウは緊張する。

「なんで、知りたいんですか?」
「蛸と約束したからだよ。太陽の紋章を正しく使うって。だから、その参考にしたかったんだ。」

「そうなんですか。」
リオウはコロナを真正面から見た。

「あの、できたら、何があったか教えてください。僕も参考にしたいので。」
「いいよ。」
コロナとリオウはこれまでのことを語り始めた。







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