結ばれなかった約束

坊→ティル 2主→リオウ 5主→コロナ

コロナとリオウが話し出し、長い時間がたった。
その間、ティルはじっとコロナとリオウを見ていた。
どちらかというと、ゲオルグを見ないためだった。

ティルがソールイーターを宿していることも、結局言えないでいた。
ただ単に、町で知り合った同盟軍軍主と知り合いの人間として会ったのだ。

真の紋章の力は大きい。
ファレナに万が一でも利用されることがあってはならない。

だから言えなかった。

コロナはティルが真の紋章を持っていることには気がつかないようだった。
名前はそのまま名乗っているが、それでも気がついていない。
真の紋章の持ち主が不老になることを知らないためだろう。
3年も違えば成長期だったティルの背は伸び、まだ途中だった声変わりも完全に変わっていただろう。
それに噂が一人歩きをしていた。
そのことにほっとしていた。

後はリオウが余計なことを言わなければばれないだろう。

でも、ゲオルグは気がついている、そうティルは感じたのだった。

「ティルさん、大丈夫ですか?」
そんなことを考えていたが、リオウが自分の名前を呼んでいることに気がついた。

「あ、ちょっと、ボーっとしていただけ。」
ティルはなんでもないように装って言った。

「ふむ、部屋に運んでやろう。」
ゲオルグはそう言ってティルを担いだ。
ずーっと昔、まだ、赤月帝国だった時と同じように。

ティルはじたばたと手を振り回したがゲオルグは意にも介さない。
そうして、小さくささやいた。
「ばらすぞ。」

とたんにティルはおとなしくなった。

「少し話したいことがある。」
ゲオルグのその言葉にティルは青ざめ、小さく頷いた。

あとに残されたリオウとコロナは次にどうするかを思案した。





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