小話(2作品)
ぷに。
カイは突然サキに二の腕をつままれて、驚いた。
船長であるカイがそんな顔をすることはめったにない。
「えっと何?」
「細いのにすごく力がある動きだったから。全部筋肉なんだね。」そういうサキは腕を含めかなり筋肉がある。
「じゃああたしも。」
今度はナナミがぷにっとテッドの頬を摘んだ。テッドは飛びずさる。
「俺に構うな。」
「えー。」
ナナミはテッドを追いかける。
カイはふと横にいたキリルの頬を摘んで引っ張る。
「な、なんだ?」
「いや、面白いのかなあと思って。」
「じゃあ僕も。」
ニッコリ笑ってシキがキリルの頬をつかんで引っ張った。
キリルはバッと手を振り払った。
「あ、シキさんだー。」
ナナミはテッドの頬ぺたを引っ張りながらシキの方に来た。
テッドは涙目だ。
ぷに。
ナナミはシキの頬を引っ張る。
シキはにこにこと笑っているだけだ。
「あ、シキさんのほっぺた柔らかい!」
ナナミは嬉しそうに言った。
逃げるからいぢられるんだよ、とカイはキリルに囁いた。
と、シキが動いた。
ガスッといういい音がしてシキはサキを打ちすえていた。
サキは後ろからシキの二の腕を摘もうとしていたのだった。
「ごめん、後ろから来るから思わず……。」
「いえ、大丈夫です。」
サキは顔を真っ赤にさせ言った。
辺りには笑い声が響いた。
◇◆◇
街道だというのに、モンスターが出ていた。しかも、女の子が襲われている。
カイ、キリル、シキ、サキは慌てて駆け寄った。
4人は圧倒的な強さでモンスター達を追い払った。
「怪我はなかったかい?」
キリルは女の子の目線と合わせる。女の子は首を振る。
「良かったね。」
カイはニコリと笑う。
「家まで送るよ。」
もう、女の子の目はハートマークだ。
「タラシ。」
サキはポソリと呟く。
「まあ、自覚ないんだし。」
と、シキは小声で返す。
「余計タチが悪いですよ。」
「何話してるんだ?」
キリルは首を傾げた。
「何でもないよ。」
二人は声を揃えて返した。
カイは2人の話していた内容が何となく分かったがあえて何も言わなかった。