静かなる月夜


1主→シキ、2主→サキ、4主→カイ

ロックアックスに攻めるため、軍を派遣する前夜。

たくさんの人がたくさんの思いを抱いていた。

サキは城を巡っていた。
「あ、みなさん、こんなところにいたんですね。」
屋上のすぐ側、階段のところにカイ、キリルの2人はたむろしていた。
カイがにっこり笑い指を一本だし口にあてる。
黙ってという合図だった。
サキはそろそろとカイ達の方へ来た。
するとフリックの声がした。

にや、っとキリルたちは笑う。
わざと、後姿だけ見せて立ち去った。
これからフリックはニナとの会話を聞いたかを尋ねるかどうか迷うだろう。

◇◆◇

「青い奴だな。」
キリルが率直に述べる。
いつまでも、うじうじしているのはキリルの性に合わない。
「でも、うらやましいです。」
サキはポツリと告げる。
その言葉にカイ達も頷いた。
彼らもまた置いていかれる身である。

「そういえば、シキさんは?」
いつもは3人一緒にいることが多いのに、今日は2人だけだ。

「ルックのとこじゃない?」
シキが主にいるのはキリルかカイかルックのところである。

「とりあえず、行こうか。」

◇◆◇

サキ達は約束の石板の前に来た。
まだ、この時間ならルックはここにいるだろうと思っていた彼らは予想が外れ、驚いた。

ルックは外にあった物見櫓の上にいた。
なんとなく、ソールイーターが不安定なことを感じて、シキの元まで飛んだのだった。
「君を探していたようだよ。」
ルックはシキを横目で見る。
シキは頷く。
「たぶん、相談したいことがあるんだろうね。」
「相談したいこと?」

「ああ。キバ将軍が囮に使われる。たぶん、生きて帰れないだろう」

ルックは沈黙する。

「もう、彼は答えを見つけている。だから、僕ができるのは押してあげるだけ。」
そう言ってシキは立ち上がり、階段を降りようとした。

「やめれば?」
「後悔したくないからしないよ。」
戦争なんてほんとうは嫌いなくせに、と呟いたルックにシキは微笑む。

空には大きな満月が昇っていた。