深まる溝


ロックアックスの城門は開かれた。
ロックアックスまでは長かったが城下町には戦闘員が少なく、後は城自身を攻めいるだけとなった。
城自身も、もうそれほど兵士は残っていないであろう。
同盟軍はロックアックスの城へ潜入した。
とはいえ、まだロックアックスの外で戦闘が続いている。
早急に同盟軍の旗をロックアックスに立てる必要があった。

ビクトールなど主な主将は外にいる。とりあえず、マイクロトフだけをシュウは呼び戻した。
内部をよく知っているマイクロトフが1軍、サキ達が2軍として前へ進んで行った。

しかし、途中で襲撃に合う。
特にロックアックスでは裏切り者として、マイクロトフは攻撃を受ける。
何とかしのいでいるうちに、サキとナナミとシキが最前線にたっていた。

「これからどうするんだ?」
「前に進みます。」
サキはキッパリ答えた。
シキは肩をすくめた。

◇◆◇

「いっしょに戦ってくれませんか?」
ミューズの事件があった後、サキはカイとキリルに尋ねた。

「ごめん。できない。」
カイはすまなさそうに言った。この前は許せない事情があった。
しかし、今はどちらが正しいとも言えない。
カイは群島諸国の英雄である。
どこで、それがばれるか分からない。
だから、出せる答えは否だった。

「なら、戦わなくていいので、ロックアックスに潜入してくれませんか?」
いかにも本題というようにサキは言った。

「忍びとかは派遣しているんです。ただ、中に入って避難させてほしいんだ。」
「ああ、いいよ。」
キリルは応える。

そうして2人はロックアックスにいた。
意外とロックアックスの城下町は落ち着いている。
城下町の外に戦える者の多数はいるため、城下町はほぼ非戦闘員である。
そのため、街で戦闘はほとんど起きていない。
一時期起きたパニックも、今は落ち着いている。

キリルはソワソワしていた。
「そんなに気になるなら行く?」
カイはキリルに尋ねる。
「でも、お前は、」
「要はバレなきゃいいんだよ。」

元群島諸国同盟軍、船長はのたまった。



back