戦場の中で
坊→シキ 2主→サキ
敵の兵に追われ、森に逃げ込んだのはいいが、ばらばらになってしまった。
とりあえず、サキは仲間を探して歩き出した。
ちりじりになった仲間たち。
自分をかばって先に行って下さいと言った護衛。
彼らが生きていることを願う。
「サキ。」
声をかけてきたのはシキ。
たぶん、悲壮な顔をしていたのだろうと思う。
しかし、シキは何も声をかけてこなかった。
ありがたいな、とそう思う。
「シキさん、他の人は?」
「はぐれてしまってね。ただ、君はこれがあったから。」
そう言ってシキは右手をひらひらとした。
そこにはソールイーターがある。
「とにかく、森から出なくちゃいけませんね。そうじゃないと瞬きの手鏡使えませんから。」
「そうだね、ただ、やばいことになってきたみたいだよ。」
シキのその言葉にサキは森が焦げ臭いことに気がついた。
「森に火を?」
「そうみたいだね。しかも、火の手は東だけ何もない。風上は南だと言うのにだ。」
「おびき出されている、ってことですか?」
「その可能性が一番高いな。」
シキは泰然と言った。
そこにはあせりはない。そのことによって、サキはほっとした。
「どうする?」
シキは問う。あくまでどうすることかはサキが決めることだ。
「東に行きます。誰かが、行ってるかもしれないので。」
「分かった、付き合うよ。」
サキとシキは歩き出した。
◇◆◇
風上に気配を殺して言ってみると、たくさんの殺気が感じられた。
そこには帝国軍とそれに囲まれた同盟軍の兵士がいた。
サキは人数を数える。
「行きます。」
敵と見方の戦力差を考え、それでもぎりぎりいける、と感じたからこそサキは宣言した。
無茶、だけど、無謀ではない。
しかし、サキは盟主なのだ。
「私がすることは基本的に君の護衛だからね。」
「お願いします。」
二人はいつもの子供っぽさが消え、まるで獣のように目を細める。
二人は無言で動き出した。
「我に立ちはだかるものに等しき死を与えたまえ、冥府。」
まずは敵が固まっていたところへシキは冥府を仕掛けた。
護衛、と言いながら手伝ってしまう自分は甘いな、と思った。
「我とその仲間たちに勝利を、戦いの誓い。」
サキは自分も含めて仲間を癒す。
その間にも戦う手は休めない。
武器を、魔法を、繰り出しながら戦っていく。
先ほどまでの劣勢よりかはましだが、人数の差は歴然としている。
シキとサキはしだいに押され始めた。
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