胎動
「それ。があったから。だいぶ古いことだけど、うん、思い出してきた。」
カイは一人で納得する。
「何のことですか?」
サキはきょとんとする。
「いや、150年前のね、ことを思い出していた。」
サキはきょとんとするがシキは考え込んだ。
もしかしたら、テッドの知り合いかもしれない、と。
「よかったら、少し話、しませんか?」
シキは積極的にそういったが、カイは首を振った。
「もう少ししてから、だね。今は時期じゃないから。」
そう言うカイにサキとシキは自分たちとどこか共通するものを感じた。
「その時は、あのときのことを僕が問い詰めることになるのかな?」
カイはそう言うと、森の中へ、入っていった。
あえて、追うようなことはせず、サキとシキは仲間の元へと戻ったのだった。
◇◆◇
150年前、というと一つの符号がある。シキが昔飛ばされた年代である。
前回会った時の反応から、彼が150年前生きていたことは確かである。
ルックに尋ねてみたこともある。
それでも、彼が、150年前の群島諸国の英雄、カイという以外は分からなかった。
そんな時、シキは一冊の日記を手に入れた。それは古書売りから手に入れたものだった。
そして、運命の輪が回りだした。
テッドからもらったお気に入りの本。
マッシュの遺品の中にあった、シルバーバーグ家に伝わる歴史書。
マクドール家に伝わる赤月帝国が行ってきた戦争の真実が書かれた本。
そういったものが、次々と見つかり、シキは一つの仮定を得たのだった。
◇◆◇
それから数日後、シキとサキは再びカイに出会った。
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