許される罪



シーク谷をフリック、ハンフリー、ミリア、ユイの四人は歩いていた。

途中の道にクリスタル・コアがいた。
何度か叩くが、こちらの攻撃が効いているようには見えない。

それでも、何度か叩いていくうちに小さくなってゆく。
しかし、ユイは目の前の敵に集中できなかった。

「おいおい、リーダー、しっかりしてくれよ。」
「すみません。」
「お前、熱でもあるんじゃねぇか?」
フリックはいつもらしくないユイの調子に驚いた。

なぜか、今日はユイが出ていた。
ノアは呼びかけても出てくる様子はない。

ユイは黙りこくった。

「まぁいい、がんばろうな。」
フリックは珍しく優しく言った。


何とかクリスタル・コアを退け、前へと進む。
一瞬、ユイは足を止めた。

嫌な予感がした。
先ほどまでの比にならないぐらい。

月下草の前までやってきた。

それと同時に、現れたのはウィンディとテッド。

何を話してきたのか覚えていない。
ただ、ソールイーターを返せといわれた。

ユイは必死に首を振った。
そして、闇に包まれた。

「ユイ、ノア。」
テッドの声だった。

「ごめんな、ユイ、ノア。」
僕らは首を振った。

テッドは辛そうだった。
「あんまり時間がないんだ。
紋章と それを持っていた者、
つまり おれとソウルイーターの間には
ふしぎなつながりがのこっている。

それを通じておまえにはなしかけている。
おれの体はウィンディの”支配の紋章”
によって すでに おれのものじゃない。

そして、”支配の紋章”の力は
やがて おれの心も・・・
だから時間がないんだ。

ユイ、ノア、一生のお願いだ・・・
おれが これから することを
ゆるしてほしい・・・」

テッドは望んでいる。
だから、受け入れなくちゃいけなかった。
どんなに、心が悲鳴を上げていても、ユイは、ノアは、テッドの望みを受け入れた。

「許すよ。」
「ごめんな。」

そして、これでユイの役目は終わりだった。
ユイが必要といってくれた人はいなくなる。

テッドはユイに逃げろといった。
でも、今はノアに戦ってもらいたがっている。

ユイはテッドの方へ一歩前へ進んだ。
「来るか?お前に辛い役目を負わせて悪かったな。本来ならとっくに消えていたんだろう?」
ユイは頷いた。
「ノアには辛いだろうけど、僕は今ここで消えるのがいいんだと思う。」

ユイは一歩、二歩と前へ歩む。

「まだ、マッシュは、マッシュは僕たちが必要って言った。私が必要と感じたのはユイ様だけでも、ノア様だけでもありませんって。」
ノアは必死に叫んだ。
ユイは足を止めた。

「でも、僕がいたらノアはずっと泣けないままだ。」
「マッシュが必要って言っている間だけ、それだけでいいから。」
ユイは迷った。

「待っててやるからよ、もう少しそっちにいろよ。それから、ノア。俺たちはいなくなってもお前の傍にいるんだ。」
その声が聞こえたとたん、あたりは光に包まれた。

そして、別れの時がやってきたのだった。




back