草原


そこは何もない平原だった。
地平線の向こうまで草原だった。
空の青と草原の黄緑の中にたった一つ異色のものがあった。
それは鮮烈な赤。
それはシキの胴衣の色だった。ただ、それだけではなく、シキ自身が、その赤を目立たせている。

シキはたった一人草原の中を旅していた。

まるで立ちはだかるかのように、そこに光が現れた。
シキは目を細める。そこにいたのはレックナートだった。横には石版がある。
「あなたをここから向こうに行かせることはできません。」
レックナートは静かに言った。
「僕もその石版と同じ勝利をもたらすものだから?」
レックナートはソラとジョウイの前に現れた。その後ソラの同盟軍の本拠地にレックナートは石版を持ってきた。だからこそレックナート自身よりも石版が勝利をもたらすものだった。
他にも解放軍に参加していたものも多数いたが、シキは解放軍で勝利をもたらした。
デュナン統一戦争ではルカが死に、すべてが白紙に戻ったあとどちらが悪ともいえないときにシキはやってきた。その時転機が訪れ、勝利をもたらした。
彼自身が真の紋章を持っていることも関係しているだろう。彼は勝利のしるしだった。

「そうです。あなたにこの戦争は関わっていただきたくないのです。」
「それがあなたの優しさですか?世界の調和を保つものとして彼を助けることはできない。しかし勝負を五分にすることはできる。」
レックナートは答えない。
「ただ、あなたに従う言われはないんですよ。僕は。」
シキは気にせず言う。その声は冷たかった。
「僕のほうもいろいろありますから。失礼します。」
シキは頭を下げ歩き出す。後ろを振り返らず歩き出した。

しばらくしてレックナートも消えた。
彼女は悲しそうな瞳をしていた。
彼女もまた、紋章の運命に逆らえないものなのだ。
そして一陣の風だけがそこのは残った。


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