なまえ
1主→ティル 5主→コロナ
ティルはカイルがいつもいるビッキーや商店が立ち並ぶところへ行った。
「カイルさん。」
「まぁ、かわいっちゃーかわいいんだけどなぁ、俺としたら女の子に声をかけられたかったなぁ。」
その言葉にティルはむっとする。
「それで、何か用かなぁ?」
ティルは気を取り直した。
「カイルさんはコロナおにいちゃんをコロナおにいちゃんって言う人知らない?ゲオルグは今いないし。」
「そりゃまたどうして?」
「コロナおにいちゃん、僕がコロナおにいちゃんって言うと笑うんだよ。」
「う〜ん、分からないなぁ。」
「そっかぁ。」
ティルは落ち込んだ顔をした。
カイルはティルに視線を合わせる。
「王子はさ、王子のことを王子って呼ぶ人が少なくなったとき、王子って呼ばれたらどうすると思う?」
「たぶん、うれしそうに笑う。」
ティルはカイルに言われてコロナって呼び方だけがコロナをうれしくさせるんじゃないと分かった。
でも、コロナをコロナと呼ばれるとうれしそうに笑うのも本当で・・・。
「あぁ〜、えーっとな、まぁ、今はお前がいるだろ?誰もいなくなったらそれこそ王子は王子って呼ばれるためにコロナって呼ばれなくなったことを悲しむからな。」
ティルはこっくり頷いた。しかし、半分泣き出しそうである。カイは困った。
その時、扉を開けてミアキスが入ってきた。
「あれ〜?ティル君をいじめちゃってるんですかぁ?」
カイルはほっとした。
「いや、こいつが王子のことをコロナって呼ぶやつのことを探しているんだとよ。」
ミアキスは少し考える。
「うぅ〜ん、ゲオルグ様とか、あと、ハスワール様もコロナちゃんって呼んでいた気がしますぅ。」
「ハスおねえちゃん、今どうしているんだろう?」
ティルも気がついていたが、ハスワールは厳重な監視に置かれていると思ってあきらめたのだった。
その言葉にカイルは新聞の記事を思い出す。
コロナたちがエルフの抜け道をたどってやってきたという話も。
「こりゃ、早速ハスワール様を助けに行かないとな。」
カイルはティルの手を引き、コロナの元へ向かった。
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