初めての約束
坊→ティル、2主→リオウ、4主→カイ、5主→コロナ
「明日サラディまで、こっそり行ってみようかなって思ってるんだ。帝国に遣えるようになったら、なかなか暇がないし。」
「俺ももちろん、一緒だよな。」
「えー、どうしようかな。」
「一生のお願いだよ。」
「わーかったよ。ただし、グレミオには内緒だからね。」
テッドにされた一生のお願いをティルはずっと果たしてきた。
初めて、お願いをされた時から。
◇◆◇
テッドが来てすぐの頃、買い物を頼まれ帰りに拾ったのは、羽が傷ついた小さな小鳥。
「死んじゃうのか。」
その目はあまりにも暗かった。
ティルはテッドが戦災孤児ということを思い出した。
「死なないよ。大丈夫。」
その言葉の主語がティル自身をも、さしていることに、テッドは気がつかなかった。
「そうだよな、死なないよな。」
淡い希望とわかっていても願わずに入られなかった。
「死ぬな、一生のお願いだ。」
小鳥に向かって、テッドは囁いた。
そして同時に、ティルに向かって死なないことを無意識に願っていた。
「死なないよ。」
そして、その言葉は真実となった。
一時は危篤状態になったが、回復しはじめると小鳥はみるみるうちに元気になった。
「ほら、元気になった。」
ティルの勝ち誇った様子を見て、なんとなくだが、テッドはティルが死なない気がした。
本当なら右手にソールイーターがある限り、そんなわけはないはずであるのに。
「バイバイ。」
テッドとティルが見守る中、小鳥は大空を舞い上がった。
◇◆◇
すべてが終わって、トランから立ち去る前に、ティルはシーク谷にいた。
「僕は生きているだろう?大丈夫だよ、僕は生きる。」
ティルは花束を投げ入れた。
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