再会


1主→ティル、4主→カイ、5主→コロナ

ティルは大広間で、フリックに呼び止められた。
「侵入者がいて、止められなかったんだってね。」
「ああ。捕まるまで、俺が護衛だ。」
「頼りにしてるよ、フリック。」
そう言って、ティルは笑った。

その姿からは、先日、親友を喪ったようには見えない。
ビクトールがいれば、なにか違ったのかもしれないが、自分には役不足だった。

「ここが、軍主の部屋かなあ?」
その時、脳天気な声がした。

フリックは聞き覚えのない声に警戒したが、聞き覚えがあるティルはため息をついた。

大広間の扉を開け3人の人が入ってきた。
「ひっさしぶり〜。」
「元気してた?」
「大きくなったなあ。」
上から順にアルム、カイ、キリルである。

ティルは再び、ため息をついた。

「あなたたちが、侵入者ですか。お久しぶりです。アルム殿、キリル殿、カイ殿。」
「えー、昔みたいに、コロナお兄ちゃんって呼んでくれないの?」
「私にも、立場がありますので。」
ティルはそっけなく言った。

フリックは柄にまだ手を置いたまま、尋ねる。
「知り合いなのか?」
「僕が子供の頃、お世話になった人たちだよ。」

「なーんか、ティル、つれないよね。」
「昔はなついて来たのにな。」
「そうそう、ティル、これリムからだよ。」
そう言って、コロナはティルに手紙を差し出す。
「リムスレーア殿からですか。」
そう言いながら、ティルはリムスレーアからの手紙を受け取った。
「変なものじゃないだろうな。」
「恋文だよ。」
カイの答えにフリックはふいた。
「古いなあ。ラブレターぐらい言えないのか?」
「古いのはカイだけだよ。」
約150歳のキリルは否定する。

「丁重にお断りしたはずですが。」
「また、気が変わるかもしれないって思って☆」

「いい歳をして、星をつけないでください。それに、私はこの国と共に生きることを選択した。リムスレーア殿もファレナを離れないでしょう。」

「だから、ティルがくればいいじゃん。」
「私はこの国を…。」
「ティルはリムが嫌い?」
コロナはティルの言葉を遮った。
「嫌いじゃありませんよ。ただ、恋愛感情ではないだけで。」
「リム、きれいになったよ。」
首を傾げてコロナは見つめてくる。
成人した男の大人がしても気持ち悪いだけだが、コロナには似合っていた。

「そうでしょうね。…今度はどこから、縁談が来たんですか?」
「あー、もう、ティルは察しがいいんだから〜。今回は一気に5つも来たんだよ。それで…。」

コロナはグチりだす。

「あー、はいはい。さすがに、ファレナの閣下がこんなところでグチをこぼしているっていうのは外聞が悪いだろうし、あっちに行こうね、コロナお兄ちゃん。」
人が入ってくるかもしれない大広間からコロナはティルに引っ張られて軍主の部屋に連れていかれた。

「なあ、一つ気になったんだが、閣下でコロナで、リムスレーアって…。」
フリックはおそるおそるというように聞いてくる。

「たぶん、想像通り。彼はファレナ女王国の女王の兄、だよ。求婚しているのは、女王様。」

とんでもない事実にフリックは目を白黒させたのだった。





キリル、4主が合流したあたりは、また、別の機会に。






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