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独占欲


「あれ、ユイさん、どこに行くの?」
グレックミンスターのマクドール家のお屋敷に急にテレポートしてきたビッキーはユイに尋ねる。
ユイは今にも旅に出る、という風情をしていた。
「うぅ〜ん、南に行ってみようかな、思っているんだ。群島諸国にね。」

その言葉にビッキーは首をかしげる。
「あれれ、群島諸国って聞いたことがあるような気がする??どこだったんだろ?」

ユイは少し考え込む。
「ねぇ、ビッキー、ここはどこ?」
「ラズリルだよ。あれれ、でも、ここってユイさんのおうちだよねぇ。」
ユイは群島諸国という言葉と結びつけ、ビッキーがクールーク皇国からテレポートしてきたのだと知った。

「あそうだ、ユイさん、お久しぶりです。」
そうビッキーはのほほんと言う。

ユイはまたビッキーが時間を越えたのだな、と思った。
つい最近までビッキーはこの地にいたのだ。

悲しみを背負って。
バカなあいつのせいで。

ユイもまだ、共に戦ってきた風の子供が消えた痛みが癒えていない。

「久しぶり、って、ちょっと焼けるな。君と一緒にいた子に。」
ビッキーは時を超え、天魁星に仕える。
どちらかと言うと、守ってもらう、と言う方が正しいかもしれない。
どちらにしても、その相手に対して、ユイは嫉妬した。

「うん、でも今はユイさんが一緒にいてくれるんでしょ?」
そう言ってビッキーは首をかしげる。

「そうだよ、僕は君が好きだからね。だから、嫉妬するんだ。君が見ず知らずの人と仲良くなって普通にいられるほど、僕は余裕がないからね。」
さらりと言ったユイの言葉にビッキーは赤面する。

「えっと、あっと、ええぇぇぇぇ。」
奇妙な声を出す彼女をユイは優しい顔で見ていた。

「うん、私も好きだよ。」
ようやくビッキーは一言だけようやく返す。

ユイは旅に出る用意を床に下ろす。
「だからね、今日はいっぱいしゃべろうね。」
「うん。」

◇◆◇

永遠なんか信じない。君も僕もたぶんいつかは死ぬ。右手の紋章が喰らってしまうかもしれない。
そうじゃなくても、僕の心も、君の心も変わってしまうかもしれない。
それに、君はどこかへ飛んでいって二度と会えることが無いかもしれないじゃない。
でも、今、ボクは君を愛している。それだけは、確かだから。


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