海風
白鳥が船の周りを舞う。
風そよぐのは甲板の上。
その甲板の隅にテッドとカイはいた。
だからと言って、何を話すこともなく、淡々とただ居続けた。
太陽が出、海が白くなったときも。
太陽が真上に来て、青く緑に輝く海が広がったときも。
夕方、赤く大きな太陽が真っ赤に海を染めたときも。
夜、真っ黒な闇が海をさらに深いものにしたときも。
それを見て、どう思ったのかも言うわけでもなく。
ただ淡々と二人は甲板の隅にいた。
◇◆◇
「なぁ、どうしてお前はここにいるんだ?」
甲板の隅に二人がいるようになって数日がたった頃、唐突にテッドは尋ねた。
珍しいこともあるもんだ、と思いながらカイは顔を上げる。
そこには真摯な目。
「君がボクに無関心だから。」
カイが答えを返すと、そう、と言ってテッドは視線を下に下ろした。
また、再び、長い長い航海が始まる。
ただ、黙々とテッドとカイは甲板の上にいた。
◇◆◇
無関心という心地よさを感じながら。
back