朝日の降り注ぐ中で
4主→カイ 5主→コロナ
コロナは眠れぬまま、朝がきた。
空は白くなりはじめていたが、まだ太陽すら出ていない。
誰かを起こすこともためらいを覚え、一人でてけてけと湖のほとりを歩く。
ようやく太陽の端が出始めた頃だというのに2人の少年が歩いていた。
茶色の髪の少年は快活に歩いていたが、黒髪の少年は眠そうに大あくびをしていた。
「眠い。」
「そう?いつもこんなもんなんだけど。」
「じーさんは朝が早いか。」
「ほとんど変わらない歳のくせに。それに僕は5歳のころにはこれぐらい早く起きていた。それにしても、塩辛くない海もあるんだね。」
「なら、5歳のときからじーさん属性だったんだな。これは湖だよ。遠くに陸が見えるだろ?池のでかい奴。」
「それなら君は低血圧のお姫様?湖なんて本の中しか知らなかった。」
「井の中の蛙のじーさんって性根がわりいな。ずーっと海のあるところにしかいなかったのか?」
「わがままなお姫様も根性曲がっていると思うけど。僕にとっては海が家族だから。こんなに長い間、海の見えないところで過ごすのは初めてだよ。」
2人はコロナには気づいていないようだった。
なんとなく黒っぽいオーラのようなものが見えて近寄り難かった。
コロナはくるりと回れ右をする。
「あー、そこで回れ右するか?」
黒い髪のほうが叫ぶ。
「うん、僕たちコロナ君とお友達になりたいなぁー、って思っているんだよ。」
怪しい口調で茶色の髪の少年が言った。
「それじゃぁ、怪しいだろ。」
コロナは後ろにじりじり下がる。
1人ならまだしも2人は不利だった。
どうにもこうにも相手が強い。
逃げることすらできそうになかった。
「大丈夫、大丈夫、僕はスカルドさんの遠い血縁のものだよ。名前はカイ。」
「ま、俺はただの連れ。赤月帝国、うーんと、ゲオルグさんが元居た国の一般市民。」
コロナは知っている名前に少しだけ緊張を解く。
「何か用ですか?」
コロナは怪しいものを見るような目で見る。
「目的は観光、観光。」
「それと君に興味があってね。」
はっきり言って胡散臭い。
「今、戦争しているんですけど。」
コロナは、さすがに不振人物を城に招待するわけも行かず、警戒の態勢を取る。
カイは適当に城に入るために目的をでっち上げることにした。
「うぅ〜ん、あ、そうそう、お城、シンダル遺跡なんだろ?」
「へーそぅ、むぐっ。」
感心しそうになったキリルの口をふさぎながらカイは言った。
「えっとそうですが。」
「オベルにも遺跡があるんだよね、それを調査しに来たってとこで。」
これ以上、問答しても結局、2人は本拠地にやってくるだろう。
コロナはあきらめることにした。
「えっと、戦争に参加してくれるんですか?」
とりあえず、スパイでも何でもいいから味方に引き入れることだ。
「いんや、君になら手を貸してあげるけどね。」
残念だったが、とりあえず、2人をドレミの精探しに引き回すことにしようとコロナは思った。
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